作品について11

美術の世界について知ることの大切さを感じる。

昔読んでいてよくわからなかった美術書を、今再読している。

作品の向上のためでもあるが、単純に美術についてもっと知りたいからでもある。

どういう基準で作品が評価されるのか、美術の世界で何が求められているのか。

昔から本屋さんで気になる美術書を見つけては、こつこつと購入していた。

美術の道で食べていくための足がかりをなんとか見つけたかったから。

大学卒業後、美術の現状についてわからないことだらけだったからだ。

どの本も全部一通り目を通したが、当時はわからないことも多かった。

それでも、少しでもヒントを見つけたいという気持ちで本を探していたのを思い出す。

だから、美術書はいっぱいある。試行錯誤した分だけ持っている。

そのことに気付き、手元にある美術書を再読し始めた。

今まで知りたかった美術についての現状がすべて書いてあった。

言葉がスッと頭に入ってきたし、腑に落ちる部分も多かった。

時機って、あるのかもしれない。

いろいろな経験を経て、ようやく内容が理解できた部分も大きい。

当時は、美術に対する思いが純粋すぎたのかもしれない。

良い作品を制作することだけが、美術作家に通じる道だと考えていた。

言葉がなくても、作品がすべてを語ってくれると信じていた。

今も美術に対する思いは変わっていないが、ルールはあるんだろうなということはわかっている。

そのルールを知らないと、勝負する土俵にも立てないというか。

今活躍している人たちはそういう思考を身につけて、実力をつけてきたのかもしれない。

一部は身につけないといけないけど、すべては染まりたくない。

染まらないでいられる方法を見つけるためにも、知っておかないといけない。

だから今じっくりと時間をかけて、思考しながら再読している。

変わる部分と変わらないでいるべき部分の見極めが大切だ。

流されすぎないで、自分なりに進化しよう。