作品について19
たった一本だけ描かれた線で、いい作品だなとわかる瞬間がある。
見るだけで、目が悦ぶ感覚。
自分が作品を描く時にも感じるし、いろんな作家の作品を鑑賞する時にも感じる。
一本の線の中にも濃淡があったり、線の太さにも強弱があり、見ていて楽しい。
やっぱり、実物の作品を鑑賞する時の目から入る情報量はすごく多い。
この線も面白いし、この線もいいなと思いながら、作品上をぐるぐると視点が彷徨う。
色彩も綺麗だなとか、この配色は面白いなとか思考する。
いろんな構図や線を見ながら思考し、そして発見する。
作品を見ることは、ひたすら自己と向き合えて没頭できる貴重な時間だ。
どんな作品でも勉強になるが、目が悦ぶ感覚を味わうのが楽しい。
線だけで空間を想像できる作品や、こんな色彩の使い方があったんだなと発見するのが楽しい。
昔、若冲の大きな展覧会に行った時の衝撃は、今でも心に残っている。
良い作品が多く、生き生きとした線や構図の面白さに圧倒された。
線の使い方がうまいなぁと、目が悦んだ。
古さを感じさせない色彩の鮮やかさも印象的だったが、
実物の線の強さや面白さには目が釘付けになった。
どうやったらこんな描き方ができるのだろうと、長時間鑑賞していたのを覚えている。
ホックニーの展示を見た時も、作品のスケール感に圧倒された。
線や色彩だけでなく、塗り方も面白かった。
いっぱい作品を鑑賞することは大切だ。
私はやっぱり美術が好きだな。
自分の目が悦ぶ作品をつくろう。