制作について2
立体制作は触覚が研ぎ澄まされ、平面制作とは異なる面白さを感じることが多い。
無の心境になり、没頭できる感じすらする。
私は制作時に下描きをしない。
真っ白なキャンバスや何もない状態から作品を生み出す過程が楽しい。
大まかな完成図や伝えたいイメージ等は頭の中にあるが、制作時にどんどん膨らまして変化していく。
イメージの広がりを壊さないよう臨機応変に対応することで、作品の世界が広がることが多い。
地図も何もない状態で見知らぬ街を歩きながら、景色の面白さを発見する一人旅の感覚に近い。
ただそれだけ自由な分、描き進めるに従って全体のイメージの改築と自己対話が重要になってくる。
構成や全体図を思考しながら描き続けるため、進み続ける勇気や立ち止まる決意も大きく作用する。
そういった思考作業から、立体制作の場合は解き放たれるように感じる。
前面・背面・側面からの視点を集めて一つの立体をつくりあげる感覚は、私にとっては新鮮だ。
立体制作では全体像が完成して初めて、自己の中でのモチーフに対する印象や感覚に気付く。
流行や現代性等取り組むべき課題はあるけど、無理をせず、流されずに制作することが大事だ。
多少遠回りになっても、本当に表現したいものを追究し、自分の道を歩もう。
納得できる作品を制作することで、道は開けると信じている。
自分にしか表現できない道を見つけよう。